「小規模事業者でもできるネットを使った事業承継・M&A」セミナーを行いました

11月13日、東商板橋支部にて「小規模事業者でもできるネットを使った事業承継・M&A」をテーマにしたセミナーの講師を務めさせていただきました。一般的なM&Aの流れとネットならではの違いを中心にお話しさせていただきました。

今回はネットM&Aのテーマということでその話を中心にしましたが、M&Aはあくまで事業承継手段としての選択肢の一つであり、その前に一番大事な話は「自社の実態を知った上で今後のシナリオを考えること」です。事業承継は10年の計ですから、経営者(オーナー)がある程度の年齢になっていて、事業を残したい意向があるが後継者が決まっていないという状況の場合、今すぐに動き出す必要があります。

どんな承継計画を描くのかの出発点となるのが「自社の実態を知る」ことから始まります。講演では、最後にそのお話しを少しだけさせていただきました。少し前に、金融庁で地域金融を管轄されている日下智晴さんのお話しを聞く機会があったのですが、曰く「経営者保証をしていない企業オーナーは、自社の支配権の確認という意味で、税理士・会計士に自社の実態調査(デューデリジェンス)をしてもらうことが望ましい」という旨のご意見が印象に残っています。
このご意見は、経営者保証解除の流れが強化される中での金融機関の資本支援の在り方をテーマにしたお話しの中で語られたものですが、事業承継戦略においても重要な観点だと思います。中小企業の会計では、取得原価主義で財務諸表が作成されているため、決算書が実態価値を表していないことがほとんどです。そこで、実態として資産超過なのか債務超過なのか、実態として利益が出ているのか出ていないのかを知ることが重要になります。その結果をベースとして、自社の状況、取り巻く環境等の様々な要素を勘案しながら事業承継の方針を立てる必要があるのです。

ということで、今回のセミナーで一番お伝えしたかったのは、実はこの「自社の実態を知った上で今後の方針・戦略を立てよう」ということでした。その上で、第三者承継を選択するなら、ネットを活用したM&Aは十分に使える手段になると思います。