東京23区の先端設備等導入計画の状況について

先端設備等導入計画は、生産性向上特別措置法において措置されたもので、中小企業・小規模事業者等が、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。計画の申請は、経営革新等支援機関から確認書をもらった後、設備導入を行う場所の自治体に対して行います。

認定された場合、計画実行のための支援措置が受けられることが特長で、具体的には、①税制措置(固定資産税の特例措置)、②金融支援(民間金融機関の融資に対する信用保証の特例)、③一部の補助事業における優先採択の3つの措置です。

なお、計画の認定と税制措置については分けて考える必要があります。計画の認定に関しては、中小企業等経営強化法で規定される中小企業であれば受けることができますが、税制措置に関しては、税法上の中小企業のみが対象となります。また、税制措置を受ける場合は、導入する設備について工業会等の証明書を取得して提出する必要があります。

この計画に関して現在、多くの中小企業の最大の関心事は「自社が所在する自治体が、いつから計画認定の申請を受け付けて、どのくらいの期間で認定に至るのか」という点だろうと思います。上述の支援措置にあるとおり、この計画の認定を受けることが、所謂「ものづくり補助金」の優先採択の対象になっていた関係で、多くの企業が補助金の採択可能性を上げるために、補助金申請時に先端設備等導入計画の認定にコミットしたからです。真偽の程は不明ですが、補助金応募企業のうち7割程度がコミットしていたとの情報も耳に入ってきました。

ご存じのように、ものづくり補助金の交付申請受付は既に開始されていますが、先端設備等導入計画の認定にコミットした企業は、その認定を取得しないかぎり交付決定が下りません。所在する自治体が早く計画認定手続きを開始してくれないと、せっかく補助金採択されているにも関わらず、事業が開始できない状態が続くことになってしまいます。ものづくり補助金の事業期間が年内であることを考えると、一刻も早く交付決定をもらって事業を開始したいと焦っている企業は非常に多いと推測されます。

そんな中、7月に入って、地方都市を中心に計画認定の受付をスタートした自治体が増えてきていますが、事業者数が多いと思われる東京23区では、8月24日現在で22自治体となっています(ホームページでの確認情報。8月24日追記)。

  • 6月29日 港区
  • 7月6日 板橋区
  • 7月9日 大田区
  • 7月11日 世田谷区
  • 7月13日 新宿区
  • 7月17日 江戸川区、千代田区
  • 7月18日 江東区、葛飾区
  • 7月23日 豊島区
  • 7月24日 墨田区
  • 7月24日 北区
  • 7月27日 台東区
  • 8月2日 品川区
  • 8月2日 練馬区
  • 8月2日 文京区
  • 8月3日 荒川区
  • 8月3日 中央区
  • 8月6日 杉並区
  • 8月10日 渋谷区
  • 8月10日 中野区
  • 8月23日 足立区

各自治体のホームページを確認した限りの情報としては、申請受付から認定に至る期間についても、1週間~30日程度と自治体ごとに差があるようですね。とはいえ、ものづくり補助金の交付決定と絡んでいる関係で、各自治体とも国から認定を急ぐよう言われているようなので、実際には30日掛かるケースは無いのではないかと思います(実際に1週間程度で認定が出ているケースがあるようです)。

東京23区のうち、まだ受付開始が出ていない区の事業者様にとっては、焦るだけの時間がもうしばらく続きそうですが、開始後すぐに動けるように準備だけは万全にしておきましょう。