小規模事業者への軽減税率対策の認知は進んでいるのか?

少し前の話ですが、3月12日~13日の2日間にわたって東京国税局主催の消費税軽減税率説明会に講師として参加してきました。この仕事は昨年依頼ずいぶん増えており、私の説明パートは軽減税率制度の開始に伴う事業者支援措置(要は補助金)についてです。

まずはこの補助金の概要を簡単にまとめておきましょう。
軽減税率の開始後は、発行する請求書やレシートに「軽減税率の対象品目である旨」と「税率ごとに合計した税込対価の額」の2つを記載しなければなりませんが、古いレジ等ではこのような印字ができないため、そのようなレジを使っていらっしゃる事業者の方はレジ等を買い替える必要が出てきます。また、企業間の受発注システムにおいても受発注データのやり取りの際に同様の記載が必要なため、こちらも場合によってはシステム改修が必要となってきます。

そこで利用できるのが軽減税率対策補助金です。飲食料品等の軽減税率対象品目の取引を日常的に行なっている中小企業であれば利用できる補助金で、レジの改修や新規導入、受発注システムの改修等の費用を国が補助してくれるというものです。
補助率は4分の3ですから、例えば4万円のレジを購入したとしても自己負担は1万円です。また、この補助金はiPad等で使えるクラウド型レジの導入もOKで、iPad等の汎用端末も対象になっている(但しこの補助率は2分の1)というお得な補助金です。一般的に補助金というものは、PCやタブレットといった汎用機器は対象にならないことが普通なので、その点でもかなりお得と言えます。

で、ここからが本題ですが、これほどお得な補助金にも関わらず、利用は芳しくないようです、事業者の方がこの補助金のことをご存じないからなのか、知っているが対応を先送りしているだけなのか、使っているレジやシステムが既に複数税率に対応しているケースが多いからなのか、理由は色々と考えられるのですが、実際のところどうなのでしょう?
先日の説明会に来られていた関東経済産業局の方も首をかしげていらっしゃいました。私の肌感覚としては、特に小規模な事業者の方々には、そもそも軽減税率に関してレジ等の対応が必要であるということが認知されていないのではないかと感じています。

各税務署や間税会等が中心となって軽減税率に関する情報提供を行なっていますが、説明会等を開催しても参加者の集まりがイマイチというケースが多々あるようです。このことからも、必要な情報自体が事業者の方に行きわたっていない懸念があります。10月1日の消費増税が予定通り実施されるとして、混乱なく対応できるのか、やや不安を感じる今日この頃です。