書籍「起業するより会社は買いなさい」を拝読

syoseki2提携している株式会社トランビの高橋社長より、新刊「起業するより会社は買いなさい」をお送りいただきましたので、早速拝読させていただきました。

株式会社トランビは、小規模事業者でも身の丈に合ったM&Aを行えるよう、インターネットを通じてM&Aの出会いを創出するプラットフォームを構築して運営している企業です。お父様から継いだ製造業の社長でもある高橋社長が、協力会社等の廃業が進む状況に問題意識を持たれて、小規模事業者でもM&Aを現実的な選択肢として検討できるような仕組みを作りたいとの思いで立ち上げられました。

この本は、我々のようなM&A支援者ではなくサラリーマンや起業予定の個人の方、中小企業の経営者の方を対象として書かれていますが、ポイントはそのタイトル通り「起業するなら会社(事業)を買うという選択肢を検討してみてはどうか」という提案です。

起業というのは文字通りゼロからイチを作り上げるものですが、やはり事業が軌道に乗るまでには多くの苦難が立ちはだかり、残念ながら期待した収益が上がらず数年で撤退してしまう創業者も一定数いらっしゃいます。古いデータですが、中小企業白書平成18年版には、「創業1年後に生存している企業の割合は72.6%」というデータが紹介されています。つまり、1年持たないで事業を辞めてしまう創業者が4人に1人いるということです。

これを見ても、イチから認知を高めてお客様を獲得し、そのお客様がリピーターになったり新たなお客様を紹介してくれたりして、その結果として経営が安定するまでには、それなりのハードルがあることがわかると思います。

また、経営者になれば、売上を上げるための努力はもちろんのこと、業務のオペレーションを作ったり、それを回すための従業員採用や教育、資金の管理など、会社を運営するために必要な様々なタスクを同時にこなしていかなければなりません。私は創業のご支援をさせていただくことも多いのですが、創業者が一様におっしゃるのは「実際に経営者になってみると、思ったよりやるべきことが多くて大変」ということです。

しかし、現在事業が回っている会社を買うのであれば、上記のようなハードルは大きく下がると思いませんか?
なぜなら、お客様が付いていて一定の売上が毎月立っているわけですし、業務を回していく仕組みも機能しているからです。
高橋社長も本に書かれていますが、企業勤めをされている方は、経営全般をマネジメントする経験は少なくても、今ある利益を増やしたり業務を改善していく等のスキルには長けていることが多いと思われます。
もちろん、会社を買ったからといって、すぐに大企業で身に付けたやり方を押し付けることはお勧めしませんが、中小企業は業務改善によって会社を良くしていく余地が大きいことも事実です。
こうした業務改善に加えて、経営者マインドを磨いて発揮していけば、買った企業を大きく成長させることも不可能ではないと思います。

詳しくは本書をお読みいただければと思いますが、これから起業を考えられている方には、「会社を買って起業する」という選択肢もあるということを、ぜひ憶えておいてほしいと思います。