経営力向上計画をご存じですか?

今年7月に「中小企業等経営強化法」施行されたことを受け、あらたに「経営力向上計画」という制度が始まりました。これは中小企業の稼ぐ力を強化する取組み、つまりは生産性向上のための取組みを支援しようとするものです。少子高齢化による生産年齢人口の減少が予見されているとおり、労働供給力の不足が経営のボトルネックになる時代がすぐそこまで来ています。従業員が今より減少したとしても現在と同じだけ、あるいは今以上に稼げる体質にならなければなりません。これは賃金の問題にも関係してきます。理想的には、生産性が向上することで一人あたりが生み出す付加価値額が上がり、賃金への分配額が増えることで個人の消費が促され、それが企業の収益増加につながるというのが背景にあるストーリーです。

経営力向上計画とは、そのような体質になるための取組みの計画を国が認定するというスキームですが、この計画認定を取得するメリットは大きく3つあります。
1)生産性を高めるための機械装置を取得した場合、3年間固定資産税を1/2に軽減
2)計画に基づく事業に必要な資金繰りを支援
3)認定事業者に対する補助金等における優先採択

これらのうち、1)の固定資産減税については、企業にとっての実際の金額的なインパクトはそれほどでもないかもしれませんが、従来あるような法人税減税と違って赤字企業でもメリットがあるという点が大きな特徴となっています。2)の信用保証の別枠化は資金繰りが厳しい企業には嬉しいメリットと言えます。計画の内容が新事業活動に該当することという制約はありますが、新しいことをやりたくても信用保証協会の借入枠が一杯で資金の手当てができないから実施できないという企業にとっては朗報と言えるでしょう。また、3)の補助金審査における優先採択というメリットも見逃せません。この秋には平成28年度補正予算「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」の公募が行われる見込みですが、経営力向上計画の認定を受けていれば、この補助金の審査に関して優遇を受けることができるというものです。

というわけで、生産性を向上するための設備導入を行う予定があるなら、この補助金を申請しない手はありません。採択率はそれなりに厳しいものになることが予想されますので、経営力向上計画の認定で少しでも得点を稼ぎたいところです。「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」の公募が始まると、経営力向上計画の認定申請も急増し、審査が渋滞して通常よりも認定までの時間がかかることも考えられるため、経営力向上計画は今のうちから策定準備しておくことをお勧めします。

経営力向上計画の策定では、自社や競合などの状況を改めて振り返り、自社が生産性を上げていくためには何が課題なのかを明らかにした上で、その解決策としての取組みを実施事項として記述していく必要があります。これは補助金申請用の事業計画にも記載すべきことなので無駄にはなりません。何よりも、自社の状況を改めて把握することにも役立ちますので、経営者にとっては経営を見つめ直す良い機会になると思われます。

当社では既に認定取得のサポート実績もございますので、経営力向上計画の認定を受けたいとお考えの経営者様は是非ご相談ください。