令和元年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」の概要が発表されました
すっかりお馴染みとなった所謂「ものづくり補助金」ですが、今回の内容は従来とは若干変更があるようです。中小企業基盤整備機構(中小機構)が発表した資料から、重要な変更と思われる部分に絞って紹介します。
まず「事業の目的」の書きぶりに特長があります。
<事業の目的(中小機構発表資料より抜粋)>
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等、及び一定数以上の中小企業・小規模事業者等の新規ビジネスモデルの構築を支援するプログラムの経費の一部を補助等することにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的とします。
●解説
「今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため」という表現が一つのポイントになりそうです。ものづくり補助金では、事業目的に沿うような事業計画が採択されやすいという傾向がありますので、押さえておきたいポイントです。
また、新たな分類として「一定数以上の中小企業・小規模事業者の新規ビジネスモデルの構築を支援するプログラムの経費の一部を補助」という記述も見られます。これは申請の分類を意味しており、下でご紹介するとおり中小企業支援者に対する補助金のようです。
<補助率等(中小機構発表資料より抜粋)>
事業概要 |
補助上限額 (補助下限額) |
補助率 |
1.一般型 新製品・新サービス開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資及び試作開発を支援。 |
1,000万円 (100万円) |
中小企業 2分の1 小規模事業者 3分の2 |
2.グローバル型 海外事業(海外拠点での活動を含む)の拡大・強化等を目的とした設備投資等の場合、補助上限額を引上げ。 |
3,000万円 (100万円)
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中小企業 2分の1 小規模事業者 3分の2 |
3.ビジネスモデル構築型 中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムを補助。(例:面的デジタル化支援、デジタルキャンプ、ロボット導入FS等) |
1 億 円 (100万円) |
支援者 定額補助
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その他、大きな変更点と考えられるものは以下の通りです。
1)スケジュール感について
・3ヶ月ごと程度に1回ずつ採択発表を行い、全体で3万者程度の中小企業・小規模事業者等に対して補助金を交付する(中小機構発表資料より抜粋)
●解説
ある程度長期間にわたって公募受付がなされる可能性があります。これまでのものづくり補助金では、交付決定から事業完了までの期間が実質半年も無いくらいのスケジュールを求められることが多く、「その期間では実施不可能」と諦める事業者も多かったと思われますが、この課題を解決する変更と考えられます。
2)申請要件について
申請要件の中に、以下の記述が見られます。
・以下の要件のいずれも満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明している中小企業・小規模事業者等
一 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
二 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする(中小機構発表資料より抜粋)
●解説
給与や賃金に関する要件は、従来は加点要件として記載されていましたが、今回は原則化されたと考えられます。この要件に関する実効性担保についても言及されており、虚偽の申請をしたり、結果が伴わなかった場合に補助金の一部返還を求めるということです。
3)加点要件について
これまでも小規模事業者は加点されていましたが、「創業・第二創業後間もない企業(5年以内)」も加点対象となったようです。なお、台風等の激甚災害の被災事業者や事業継続力強化計画の認定、経営革新計画に対する加点は従来通りです。一方、前回までは加点要件となっていた先端設備等導入計画や経営力向上計画については、事前資料では記載がありません。
4)減点要件について
「過去3年間に、類似の補助金の交付を受けた事業者は、審査上の減点措置を講じる。」との記述があります。この減点要件というのは今までには無かったものであり、大きな変更点です。
以上、取り急ぎ重要な変更点についてピックアップしてみました。正式な情報としては、もちろん公募要領の公開を待つ必要がありますので、上記はあくまで事前情報である旨をご了承ください。
現在開催中の国会での予算成立が前提となりますが、補助金の事務局が決まるのが2月中~下旬になると考えられるため、公募開始はその後になりそうです。
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