書籍「あなたの夢を叶える!ネットでスモールM&A」を読んでみました

あなたの夢を叶える!ネットでスモールM&A株式会社バトンズの大山社長から、新著「あなたの夢を叶える!ネットでスモールM&A」をお送りいただいたので、早速読んでみました。漫画+解説の形式なのであっという間に読めますが、デザイン会社の女性経営者が老舗の和菓子店をネットのM&Aマッチングサイトを使って事業承継するというストーリーで、買い手が主人公というところが今どきな感じです。内容は、バトンズを使ってM&Aをやってみたい人向けのガイドブックという感じで、まあ宣伝本ではあるのですが、この本に限らず小規模M&Aを啓蒙する書籍は近年どんどん出版されています。

これにはもちろん理由があり、中小企業の継ぎ手がいないという問題が背景になっています。中小企業庁によると、中小企業・小規模事業者のうち127万者が後継者未定ということで、これらの事業者が今後親族や従業員へ引き継ぐことができなければ、廃業あるいはM&A等で全くの第三者に引き継ぐかの選択を求めらるのは明らかという状況があります。したがって、中小企業の承継問題の解決には第三者承継の一般化がカギであり、特に買い手への啓蒙が重要という課題認識になっているのでしょう。

このような背景を受けて、数年前から国を挙げて第三者承継問題に力を入れているところですが、特にM&Aプラットフォームと呼ばれるバトンズやトランビのようなサービスは、親族や従業員以外の第三者への承継に資するサービスとして国の注目度も高く、実際の利用者も増えています。例えばバトンズでは2021年度第1四半期(2021年4月~6月)の実績は、前年同期比で成約数540%増・利用者数260%増と発表されています。

ただ、小規模事業者のM&Aにはトラブルも多いため、それなりの知識を持った上で取り組む必要があります。そうした最低限のことはこの本にも書いてありますが、この本を読む人に覚えておいて欲しいと私が思うのは、知識というよりはM&Aに臨むスタンスです。本の中に、買い手としてM&Aに臨むスタンスとして、小規模M&Aの重要な判断基準は「あなたがやりたいこと」且つ「自分で再現できると思うこと」だとあります。ここは結構大事なポイントかなと思います。

M&Aを漫画で解説するというのも時代だなぁと思う今日この頃ですが、サラッと読めるので、ネットを使ったM&Aの世界がどんなものか知りたい方は読んでみると良いと思います。