平成29年度補正ものづくり補助金と先端設備等導入計画

現在公募中の平成29年度補正「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」(以下ものづくり補助金)においては、「先端設備等導入計画」という新たな計画名が登場しています。
事業類型の一般型では、この計画の認定を受けると通常1/2の補助率が2/3になりますし、類型を問わず加点ポイントにもなっていますので、この計画認定も視野に入れて今回のものづくり補助金を申請しようと検討されている事業者様も多いことと思います。

しかしながら、2/3になったり加点になったりというメリットが大きい割には、この「先端設備等導入計画」に関する情報は少ないという状況で、悩まれている事業者様も多いのではないでしょうか。

私も、ものづくり補助金を何社かご支援している関係で色々と調べているのですが、とりあえず現時点でわかったことをまとめておきたいと思います。

まず、根拠法となる生産性向上特別措置法(案)は、今の国会で審議中で、これの成立が前提となります。
とはいえ、この法律の成立を前提として固定資産税を免除する方針を発表している自治体がいくつか出てきています。東京23区もですね。

中小企業庁の方にお聞きしてわかった先端設備等導入計画の概要としては以下の通りです。

・計画書の様式は、経営力向上計画よりはやさしいものになる見込み
・設備のパフォーマンスに関するエビデンスとして工業会の証明書が必要
・先端設備等導入計画の申請から認定までは1か月程度になる見込み
(自治体が認定するため、自治体ごとの事務処理能力等にも左右される)
・認定対象とする設備や対象業種は自治体の裁量になっている

スケジュール感としては概ね以下のように聞いていますが、自治体によってバラツキも出そうな感じです。

6月頃  各自治体が議会で条例化

7~8月頃 先端設備等導入計画の申請受付開始

8~9月頃 認定作業開始

一方、ものづくり補助金の方では、基本的な考え方として、先端設備等導入計画の意思を示してものづくり補助金に申請した場合、採択されたとしても、先端設備等導入計画の認定を受けない限りは交付決定は下りないということになっています。

このような状況を考えると、ものづくり補助金でこの計画認定の意思を示して補助率アップや加点を狙った場合のリスクとしては以下を認識しておく必要がありそうです。

・交付決定が遅れるリスク
ものづくり補助金の採択発表は6月で、交付申請→交付決定に1か月程度かかるとして、通常は7月下旬から補助事業を開始できますが、先端設備等導入計画の意思を示して採択された事業者は、先端設備等導入計画を自治体に認定してもらうまでは交付決定が降りません。
特に、補助事業の発注から完了までに時間がかかりそうな事業者様はスケジュールをよく検討しておく必要がありそうです。

・交付決定が下りないリスク
前述の通り、対象とする設備や業種は各自治体ごとの裁量に任されているようですから、導入しようとした設備が自治体の方針で対象外となってしまった場合、先端設備等導入計画の認定を受けられないことになるため、すなわち交付決定が出ないことになり、補助事業を行うことができません。

まあ、国が旗を振っている制度なので、他の自治体に比べて業種や設備を大幅に制限するような自治体は無いと思いますが、自治体としては税収に直結する問題ですしね・・・

ということで、まだまだ不透明な点も多い先端設備等導入計画ですが、今のところは、ものづくり補助金の申請期限(4月27日)までにもう少し具体的な情報が出てくることを期待しつつ、粛々と準備を進めておくしか無さそうです。